競馬辞典(ま)
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え | け | せ | て | ね | へ | め | - | れ | - |
お | こ | そ | と | の | ほ | も | よ | ろ | ん |
ま
マイラー
スプリンター(短距離馬)、ステイヤー(長距離馬)に対して中距離馬(1600から2000㍍ぐらいを得意とする馬)を「マイラー」という。日本の競馬は馬の成長に伴い徐々に距離が延びていく競走形態のため、マイラータイプの血筋を引く馬の活躍が目立っている。
マイル
ヤードーポンド法の距離の単位。1マイルは1760ヤードで、約1609、344メートル。日本の競馬では1600メートルに換算する。
前検量(まえけんりょう)
出走馬が負担する重量を競走の前に計量することをいう。騎手は競走の発走時刻の70分前から検量を受けることになっている。体重や装具を調整しても所定の負担重量で騎乗できないときは、前検量の際検量委員に申し出て、2㌔を超えない範囲で重量を超過(超過重量)して騎乗することが出来る。
巻腹(まきばら)
『腹が巻き上がる』というのと同じで、腹部の内容が乏しく、巻き上がった感じに見える腹構えをいう。使い込まれての過労が原因で「巻腹」になることもあり、パドックで馬体を見るときのチェックポイントでもある。
捲り(まくり)
差し・追い込み馬が、三分三里から仕掛けて逃げ・先行馬に早目に並びかけること。
馬栓棒(ませんぼう)
馬房や放牧地の出口をふさぐ棒。
股綱(またづな)
頭を上げる馬を低姿勢に導くために使用する補助具。形はいろいろあるが、普通は別の革紐を手綱から取って鞍に直結し、頭が上がれば突っ張るように出来ている。レースに使用するときは負担重量に加算されるものである。
抹消(まっしょう)
中央競馬に登録することによって中央競馬に出走できるが、登録を抹消すると出走が出来なくなる。通常馬主からの抹消申請があったとき抹消されるが、登録馬が次のようなことに該当したときも登録を抹消される。①馬が死亡したとき②地方競馬の馬登録を受けたとき③馬主以外のものが所有するにいたった日から60日を経過したのに、そのものが馬主登録を受けなかったとき④馬体を変装して出走させようとし、または出走させたとき⑤所有権移転届の届出を怠り、また虚偽の事実を届け出たとき⑥繁殖用、使役用、乗用、農耕用、その他競走以外の用途に用いられたとき。
マッチレース
競馬の起源といわれる競走方法で、2頭の馬がその雌雄を決するために一定の距離で争うもの英国では16世紀ごろから貴族が自分の持ち馬に賭け、盛んにマッチレースを行ったといわれている。現在日本の競馬では登録制をとっており1対1の競走はないが、多頭数出走していても2頭だけがずば抜けて強いときには『このレースはマッチレースだ』などと使われる。
マル市(マルいち)
市場取引馬のこと。
マル外(マルがい)
「外国産馬」が日本でデビューしたときに馬柱につく印のこと。最近では外国産馬を示す言葉にもなりつつある。ジャパンカップなどで招待される海外でレースデビューをしている馬につく印は「カク外」。
マルタンガール
馬が走るときに頭を上げ過ぎないよう、首の動きを制限する矯正馬具。手綱から胸を通って腹帯につなぐ皮ひも。=引き返し
マル地(マルち)
地方競馬出身で、中央に転厩してきた馬に馬柱でつく印のこと。地方競馬所属のままで出走してきた馬につく印は「カク地」となる。
マル父(マルちち)
父内国産の馬に馬柱でつく印のこと。マル父限定戦とかもあり、昔からの競馬ファンには、なじみのある名前が父親のところに並ぶ。
マル抽(マルちゅう)
JRAが「セリ」で購入し育成した馬を希望する馬主に抽選で売却するシステムがあるのだが、その馬が出走してきたときに馬柱につく印のこと。
万券(まんけん)
万馬券の略。
マンシュウ
【競艇用語の「万舟券」から】万馬券のこと。
万馬券(まんばけん)
100円あたりの配当が1万円以上になる勝馬投票券。オッズが100倍以上の買い目。=万券・マンシュウ・マンバ
み
未出走(みしゅっそう)
まだ出走した事のないこと。2歳から3歳の春までは競走番組で「新馬戦」という番組が組まれているため、まだ走っていない馬を「未出走馬」と呼ばず「新馬」といっている。春後半になると未出走馬だけで戦う未出走競走の番組が出来る。
未勝利(みしょうり)
出走して1着(重賞の2着)になったことのないことを「未勝利」という。未勝利戦には未出走馬も出走出来るが、未出走の馬は新馬戦や未出走戦に出走する事が多い。また、未勝利戦は中央の4場所では3歳の秋口で終わる。
見せムチ(みせムチ)
ムチは本来馬を叩くために持たれ使われるのだが、馬によっては叩くとかえって頭を上げたり反抗したりすることもある。こうしたムチで叩かれることを嫌う馬にはムチを見せることによって走る気を起こさせる。これを「見せムチ」といい、日本でも数多くの騎手がこの見せムチを駆使している。
道悪(みちわる)
馬場状態を表す言葉で「重」や「不良」のことを総称して「道悪」というが、湿っているというよりぬかるんでいる馬場のときに「道悪」というようだ。
三日針(みっかばり)
疲れの出ているところに部分的に行う笹針治療。
身っ食い(みっくい)
馬が自分の体を噛む癖のこと。退屈やストレスかが原因といわれているが、馬体に傷が残るほど激しく噛む馬もいる。
見習い騎手(みならいきしゅ)
免許の通算取得期間が3年未満であって、「勝利度数」が100回以下の騎手のこと。「減量騎手」ともいわれているが、騎手免許を取ったばかりの若い騎手は、ベテラン騎手に比べると技術的にも未熟のため同一条件で競走した場合どうしても不利になる。そこでこういう騎手に騎乗機会を多く与え育成を図るために、見習い騎手には減量制度が設けられている。見習い騎手が特別競走またはハンデキャップ競走以外の平地、障害競走に騎乗するときは、勝利度数が20回以下は3㌔減、21回以上30回以下は2㌔減、31回以上は1㌔減の負担重量で競馬が出来るというものである。
耳捻(みみねじ)
馬に軽い手術を施したり、ゲートに入るのを嫌ったりするときに用いる器具。短い棒の先端に丈夫な鋼で15くらいの直径の輪を作ったもの(耳捻棒)で、耳を入れて捻り、馬の気をそらせ、あるいは刺激を与えて馬をおとなしくさせる。これを使うと一見痛そうだが、実際は抑制神経が働き、精神状態を落ち着かせる効果がある。
む
無口(むくち)
無口頭絡の略称で、ハミのついていない頭絡(とうらく)のこと。頭絡の項参照。
無口頭絡(むくちとうらく)
馬銜(はみ)のついていない頭絡。無口。
向う正面(むこうしょうめん)
バックストレッチのこと。
むこうずね
主として前肢に発生するもので、管骨の前面の骨膜炎と総指伸腱の炎症の2通りあるが、これを俗に「むこうずね」といっている。「ムコウゾエ」とか、単に「ソエ」というのも同じ事である。若馬がかかりやすく、急激な強い調教を行うと出来やすい。初期のうちなら運動を軽くしたり、患部を冷却することで治癒するし、また焼烙療法で治すこともできる。休むことなく焼烙療法をしながら調教することを「焼き乗り」といっている。
無印(むじるし)
予想欄でなんの印もつかない馬のことで、人気のない馬のことを「無印」という。多頭数のレースになると無印の馬が多くなるが、同じ無印でも能力、状態が印のついている馬と大差ないが印の順がまわらないため無印になっている馬と、実力・状態などがはっきり見劣るため無印になっている馬とがあるので、その辺りを見極めて馬券作戦を立てたい。
鞭(むち)
騎手が競走に際して手に持つもので「ステッキ」ともいう。馬に気合をつけたり、全能力を出させるために使用する馬具で、これを見せたり叩いたりして、馬の走る気をうながす。通常叩くことに使われるが、見せるだけでも反応する馬も多く、「見せムチ」でも十分効果はある。また、競走においては長さ70以上の鞭は使用できない。
むながい
馬の胸から鞍橋にかけわたす緒(革紐)で鞍の位置が変わらないようにするための補助具である。鞍ずれ防止と、不良体形で鞍変位をおこす危険のある馬に用いられるが、騎手の安全はむろんのこと、馬の全力疾走にとっても重要な馬具である。しりがい(尻にかけて鞍橋を固定させる緒)とともに競走馬の負担重量に入るものである。
ムラ駆け(ムラがけ)
レースの条件によって、走る気力や競走成績が一定しないこと。ムラ。
め
名手(めいしゅ)
優れた騎乗技術を持つ騎手。
名牝(めいひん)
優れた競走成績、あるいは繁殖成績を挙げた牝馬。
目隠し(めかくし)
ゲート入りの悪い馬に使うもので、黒い頭巾のようなもので、これをかぶせ目が見えないようにしてゲートインをうながす。
メンコ
馬の覆面のこと。一般には耳覆いのついたものを使い、音に敏感な馬や、砂を直接被るのを嫌がる馬に用いる。
も
モタれる
埒(らち)や他馬に寄りかかるように斜行すること。
持ち込み馬(もちこみば)
活馬の輸入自由化の実施日(1971年6月30日)以降に輸入された妊娠馬が日本で生んだ馬。要は外国で種付けされた内国産馬のこと。それ以前は競走番組上、外国産馬に準じた扱いを受けていたため3歳クラシック競走や、天皇賞などのG1レースに出走出来なかった時期があった。
持ちタイム(もちタイム)
「持ち時計」ともいう。ある馬が一定の距離でマークした最速タイムのこと。『この距離の持ちタイムがある(ない)ので…』という使い方をされるが、速い時計を持つ馬を持ちタイムがあるという。一応その馬のその距離における最高能力と見られるが、そのタイムを出したときの馬場状態・コース・出走回数などいろいろ異なるので、持ち時計が即その馬の能力という見方は出来ない。ただ、キャリアを積んだ古馬の場合には能力を探るうえでひとつの目安になるのも確かだ。
持ち乗り(もちのり)
厩務員の仕事をしながら、担当馬の調教に携わり、攻め馬や馬場運動など調教助手の仕事を兼ねる人。「調教厩務員」ともいう。
もたれる
レースや調教において、斜行することを表す言葉。コースの内側に行こうとすることを「ささる」といい、逆に外側に行こうとすることを「ふくれる」というが、「もたれる」という場合は単に内、外に行くというよりは対象物(ラチや併走馬など)にもたれかかるという意味合いで使われる。
持ったまま(もったまま)
馬なりのこと。
元返し(もとがえし)
配当金額が投票金額と同じこと。オッズが1.0倍の状態。
物見する(ものみする)
ものを見るともいうが、不意になかの物に驚いて騒いだり、止まったり、横にとんだりする動作や癖のことをいう。レース中にハロン棒の影や芝生のはげているところを飛んだりする馬もおり、これなどは物見するいい例だ。馬の目は弱視で物体は不明瞭に拡大されてもうろうと見えるということもあって、馬は気の弱い動物といわれ、用心深いのでちょっとした物や音に驚くためであろう。
もまれる
『道中もまれて…』などと使われるように、レース中馬込みに入って思うよう走れない状態を「もまれる」といっている。気の小さい馬などはもまれると戦意を失くすことがあり、そんな馬は「もまれ弱い馬」といわれ多頭数の競馬では不利になるとされている。本当に強い馬は少々もまれても力のロスはなく苦にしないものである。
もやし馬(もやしうま)
育成期間に過保護になっている馬のことで、本質的な育成技術、鍛錬がなされてなく、見た目に立派でも中身がなく『みてくれ』だけよい馬となってしまう。こういう馬を指して「もやし馬」という。また競走馬でも急仕上げで調教量の足りない馬についても、格好だけは出来ていても実質が伴っていないということで「もやし馬」あるいは単に「もやし」ということもある。
もらい
『斤量をもらう』『ハンデをもらう』などという形で使われる言葉。見習い騎手が騎乗して規定の重量より軽い重量で出走するとき、例えば53㌔の馬▲の騎手が乗れば3㌔減の50㌔で出走できる。こういうとき『3㌔もらいで出られた』などという。また目標のハンデ戦の前の1、2走を無理せずハンデを軽くしてもらうことを『ハンデもらい』というが、現在1度や2度成績が下がってもハンデが軽くなることは少なくハンデもらいを意識してレースする馬もいないようだ。
モンキー乗り(モンキーのり)
鐙(あぶみ)を極端に短くした前傾姿勢で馬に乗る方法。木の枝に猿がまたがったように見えることからこう呼ばれる。卸しにくい点はあるが、抵抗が少なく馬のスピードを出すことが出来るため現在は騎手のほとんどがこのモンキースタイルである。1890年代にアメリカのトッド・スローン騎手が考案したといわれる騎乗法で、日本でも大正時代からあった乗り方だが、保田隆芳氏(元騎手、調教師)が渡米したときに身につけて帰り、成績を上げたことで、それ以来流行し一般化されるようになった。